ホールマークジュエリーについて

 

イギリスのアンティーク銀製品の刻印(シルバーホールマーク)

 
 
イギリスのホールマークジュエリーとは?~学ぶと楽しい刻印ジュエリーを紐解く~


ジュエリーがお好きな方なら「ホールマーク」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
でも、実際にどういうものか知っていますか?
このページでは、イギリスのホールマークジュエリーについて、初心者の方にもわかりやすく解説します。

 
ホールマーク(刻印)ってなに?


ホールマークとは、ジュエリーに刻まれた「品質の証明マーク」のこと。
特にイギリスでは、何百年もの歴史を持つ制度で、金・銀・プラチナなどが
本物であることを第三者機関が保証
しています。

日本ではあまりなじみがありませんが、イギリスでは法律で定められているほど重要なものなんです。

ホールマークは、国によって打刻する基準や内容が異なっています。

一定量以上の貴金属製品に対して、ホールマークの打刻が法律で定められている国もあれば、そうでない国もあります。

例えば日本では、ホールマークはあくまでも任意の制度として運用されています。金属の純度を示す品位表示が製造者によって、検査機関である造幣局の検査を通さずに刻印されているケースがほとんどです。 
 

ホールマークの読み解き方


イギリスのホールマーク制度の歴史はとても長く、1300年代から存在しています。

ホールマークを読み解くと「いつ、どこで、どんな素材で作られたジュエリーか」が分かってしまうのです!

ホールマークを読み解く上で、必要なポイントを5つほど解説します。
 

1.スタンダードマーク


 

スタンダードマークは銀の純度を示すマークで、以下の2種類があります。

(1)ライオン・パサント


「スターリングシルバーマーク」とも呼ばれるこのマークは、
左向きに歩くライオンの姿が刻まれており、純度92.5%の銀(スターリングシルバー)であることを示します。


なお、銀は非常に柔らかい金属のため、純度100%では日常使用に耐えられないこともあり、
通常は銅を加えて耐久性を高めています。

銀の含有率が92.5%を下回る場合は、スターリングシルバーとは認められません。

 

(2)ブリタニアの刻印




1619年から1719年の約100年間、イギリスでは純銀の基準が引き上げられ、

950(95%)の純度が求められるようになりました。
この期間に使用された刻印が「ブリタニア像」です。
 

この変更には職人の間でも賛否が分かれました。


純度が高い銀は価格が高くなりすぎるとして反対する声がある一方、加工しやすさという点では歓迎する意見もありました。

最終的に1720年6月1日、従来の基準に戻され、刻印も再びライオン・パサントへと変更されました。

 

当時はこれらの刻印が非常に信頼されており、
「銀貨が純銀でなくても、ライオンやブリタニアのマークが付いた品物なら
純銀に間違いない」と人々に信じられていたほどです。

 

 

2.アッセイオフィスのマーク






銀製品には「純銀であること」を示す刻印とともに、
「どこで鑑定されたのか」を証明するマークも打たれるようになりました。

この検査施設は「アッセイオフィス」と呼ばれ、
銀の純度が925(スターリングシルバー)以上であるかを確認・証明する役割を担っています。

アッセイオフィスでの検査に合格した品にのみ、そのオフィス独自のホールマークが刻まれます。
 

ここからは、主要な4つのアッセイオフィスをご紹介します。


■ロンドン


 

ロンドンで鑑定された銀製品には、ヒョウの顔のマークが打たれます。
この印には1478年から1821年まで「王冠」が付いていましたが、
1821年以降は王冠なしのヒョウの頭が正式なシンボルとなっています。


■シェフィールド


 

シェフィールドのアッセイオフィスは1733年に創設され、当初は「王冠」のマークを使用していました。
しかし、1798年以降に金製品の18金と混同されるのを避けるため、
 

1975年からシンボルを「白いバラ」に変更しました。
実はこのバラのマークは1904年以降、金製品に使われていた歴史あるシンボルでもあります。
 

なお、1708年から1853年の間には、王冠とともに製造年を示す文字も刻まれていました。


■バーミンガム

 

イングランド中部で活躍した実業家マシュー・ボウルトンの尽力により、
1773年に設立されたバーミンガムのアッセイオフィス。
 

設立当初から「錨」のマークが使用されています。
 

当時、シェフィールドとバーミンガムの代表者たちがロンドンで、
どのマークを使うか一緒に協議して決めたという逸話もあります。
 

また、設立200周年を記念した1973年製品には、錨の両側に特別な“C”をあしらった限定デザインの
ホールマークが刻印されています。
 




■エジンバラ


スコットランドにおけるホールマーク制度は1457年に始まりましたが、
現存するものは1556~1557年以降のものに限られています。
 

エジンバラの金銀細工職人組合(ギルド)は1490年代にすでに組織されていたとされますが、
文書として確認できるのは1525年以降の記録です。
 

エジンバラのアッセイオフィスの象徴は「お城」のマークで、スコットランドらしい威厳と歴史を感じさせます。
 

 


3.メーカーズマーク



 

製作者またはメーカー(工房)を示すマークのことで

ほとんどのメーカーが、工房のイニシャルを採用しています。


 


4.デートレター

 




アセイオフィスで検査された年号を示すマークです。

これを製作年を表しており、アルファベット1文字で年号を表します。
 

例えば2000年は“a”、2011年は“m”というように、各年のマークは決まっています。

2000年~2024年を並べると下記の通りです。

 

 

 

2025年からは違う字体で“a”から開始されます。


 


5.デューティーマーク





 

納税したかを示すマークのことです。

 

以前のイギリスでは、高価な銀器は財産と見なされ、

税金がかけられていました。

 

1784年から1890年までに作られた銀器には、

税金が払われた証として、当時の国王のシルエットが刻印されています。


 

 

なぜホールマーク付きジュエリーが人気なのか?

 
 
ホールマークジュエリーは見た目の美しさはもちろんのこと
 政府認可のアセイオフィス(鑑定所)が行っており、偽物が多いアンティーク市場でも信頼性高く
 人気を集めております。

 また、ホールマークは作られた都市や制作された年代によって異なるマークが印字されています。
 これがまるで「スタンプ集め」のような楽しさを持ち、コレクターの心をくすぐります。

 最初は覚えることが難しいかもしれませんが、
 制作された年代を読み解いたり、その時代に作られたジュエリーとじっくり向き合い、魅力を発掘するのは
 とても楽しい時間です!

 ホールマークジュエリーの魅力を存分に味わってみてくださいね!

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